大動脈疾患
大動脈は、心臓から全身に血液を送る最も太い血管です。この大動脈に様々な原因で病気が起こることを「大動脈疾患」と総称します。大動脈疾患は、放置すると命に関わる重篤な状態に陥る可能性があるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。
大動脈疾患の症状について
大動脈疾患の症状は、疾患の種類や進行度合いによって大きく異なります。初期段階では自覚症状がないことも珍しくありません。しかし、病気が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
胸や背中の痛み
大動脈瘤が大きくなったり、大動脈解離が起こったりすると、胸や背中に激しい痛みが現れることがあります。この痛みは、突然起こることが多く、時に「引き裂かれるような痛み」と表現されることもあります。
呼吸困難
大動脈瘤が肺や気管を圧迫すると、呼吸が苦しくなることがあります。また、大動脈弁閉鎖不全症を伴う場合にも、心不全から呼吸困難が生じることがあります。
咳
大動脈瘤が気管を刺激すると、咳が出ることがあります。特に、横になった時に咳が出やすい場合は、大動脈瘤の可能性を考慮する必要があります。
嗄声(声のかすれ)
大動脈瘤が反回神経を圧迫すると、声帯の動きが悪くなり、声がかすれることがあります。
嚥下困難(飲み込みにくさ)
大動脈瘤が食道を圧迫すると、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなることがあります。
手足のしびれや麻痺
大動脈解離が起こると、血液の流れが途絶え、手足のしびれや麻痺が現れることがあります。これは、脳梗塞や脊髄梗塞と同様の状態であり、緊急の治療が必要です。
意識消失
大動脈疾患が進行すると、脳への血流が低下し、意識を失うことがあります。これは、非常に危険な状態であり、直ちに医療機関を受診する必要があります。
大動脈疾患の原因について
大動脈疾患の原因は様々ですが、主なものとしては以下のものが挙げられます。
動脈硬化
動脈硬化は、血管の壁が硬くなり、弾力性を失う状態です。動脈硬化が進行すると、大動脈瘤や大動脈解離のリスクが高まります。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などが動脈硬化の危険因子となります。
高血圧
高血圧は、血管に常に高い圧力がかかる状態です。高血圧が長期間続くと、大動脈の壁が傷つき、大動脈瘤や大動脈解離のリスクが高まります。
遺伝的要因
マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群などの遺伝性疾患は、大動脈の壁を弱めるため、大動脈疾患のリスクを高めます。
感染症
梅毒などの感染症は、大動脈炎を引き起こし、大動脈瘤の原因となることがあります。
炎症性疾患
高安動脈炎や巨細胞性動脈炎などの炎症性疾患は、大動脈の壁に炎症を引き起こし、大動脈瘤の原因となることがあります。
喫煙
喫煙は、動脈硬化を促進し、大動脈疾患のリスクを高めます。
大動脈疾患の種類について
大動脈疾患には、様々な種類があります。主なものとしては以下のものが挙げられます。
大動脈瘤
大動脈瘤は、大動脈の壁が弱くなり、瘤状に膨らむ状態です。大動脈瘤が大きくなると、破裂のリスクが高まります。胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤など、発生部位によって分類されます。
大動脈解離
大動脈解離は、大動脈の壁が裂け、血液が壁の中に流れ込む状態です。大動脈解離は、激しい痛みを伴い、命に関わる緊急性の高い疾患です。Stanford A型、Stanford B型など、解離の範囲によって分類されます。
大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症は、心臓から大動脈への出口にある大動脈弁が狭くなる状態です。大動脈弁狭窄症が進行すると、心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。
大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁が完全に閉じなくなり、血液が逆流する状態です。大動脈弁閉鎖不全症が進行すると、心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。
大動脈炎症候群
大動脈炎症候群は、大動脈に炎症が起こる疾患群です。高安動脈炎や巨細胞性動脈炎などが含まれます。
大動脈疾患の治療法について
大動脈疾患の治療法は、疾患の種類や進行度合い、患者さんの状態によって異なります。主な治療法としては、以下のものが挙げられます。
薬物療法
高血圧や脂質異常症などの危険因子をコントロールするために、薬物療法が行われます。また、大動脈解離の急性期には、血圧を下げるために薬物療法が行われます。
手術
大動脈瘤が大きくなり破裂のリスクが高い場合や、大動脈解離が起こった場合には、手術が行われます。手術には、人工血管置換術やステントグラフト内挿術などがあります。
人工血管置換術
人工血管置換術は、病変部位を切除し、人工血管で置き換える手術です。開胸手術や開腹手術が必要となるため、患者さんの負担が大きくなります。
ステントグラフト内挿術
ステントグラフト内挿術は、カテーテルを用いて、大動脈の内側からステントグラフトと呼ばれる人工血管を挿入する手術です。開胸手術や開腹手術が不要なため、患者さんの負担が少なくなります。
カテーテル治療
大動脈弁狭窄症に対しては、カテーテルを用いて大動脈弁を広げる治療(経カテーテル大動脈弁置換術:TAVI)が行われることがあります。
よくある質問
Q1. 大動脈疾患は遺伝しますか?
A1. マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群などの遺伝性疾患が原因である場合は、遺伝する可能性があります。しかし、多くの場合、生活習慣病などが原因であり、遺伝する可能性は低いと考えられます。
Q2. 大動脈疾患は予防できますか?
A2. 高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などの危険因子をコントロールすることで、ある程度予防することができます。定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることも重要です。
Q3. 大動脈瘤が見つかった場合、すぐに手術が必要ですか?
A3. 大動脈瘤の大きさや進行速度、患者さんの状態によって異なります。小さい大動脈瘤の場合は、定期的な経過観察を行い、大きくなるようなら手術を検討します。大きくなって破裂のリスクが高い場合は、手術が必要となります。
院長より
大動脈疾患は、症状が現れにくく、気づいた時には重症化していることも少なくありません。しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、多くの場合、良好な経過をたどることができます。当院では、内科、整形外科、泌尿器科と様々な診療科があるため、患者さんの状態に合わせて総合的な診療が可能です。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。私たちは、患者さん一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供できるよう努めてまいります。
フローラ太田小通りクリニックでは、動脈硬化のリスク評価から、専門的な検査、そして生活習慣の改善指導まで、患者さんの状態に合わせたきめ細やかな診療を行っています。地域の皆様の健康を守るため、微力ながら貢献できれば幸いです。どうぞお気軽にご来院ください。

